『姑獲鳥の夏』

「この世に不思議な事など何も無いのだよ、関口君」
・・・思わず、「明智君」といいたくなってしまう。

 京極夏彦原作、映画『姑獲鳥の夏』を見てきた。

 今回の目玉は、実相寺昭雄監督作ということがまず第一であった。僕はこの人の映像を見て育ってきたのだ(と言うと大袈裟なんだが・・・まぁいいじゃないか)。ウルトラマンやウルトラセブン。メトロン星人の回は確か実相寺監督の演出だったはずだ。
 あの原作をどんな映像で見せてくれるのか?期待は募るばかり。しかし、その反面、不安もどんどん募っていった。なにせ、京極夏彦である。あの単行本の分厚さを競ったら日本一(多分)の京極夏彦である。
 結論から言ってしまうと、「はぁ~・・・」である。ため息である。あまりお勧めはしない。
 原作を消化する為の組み換え作業がスクリーンに展開していき、それはもうまさに作業でしかない。恐らく原作を読んだ事ある人は、見るのも作業的な感覚であるいはノルマのように画面を見ていたのではないか。全く初見の人は、全く意味が分からなかったに違いない。
 僕はこんな映画を以前見たことがあるような気がした。そしてそのタイトルを思い出した。

『RAMPO』

 あー・・・なんてこった。もう一つ。

『IZO』

 しかし、こんな僕の意見は一体何になるのか、全く以って非生産的だ。
 ふと、小説の中での京極堂のセリフを思い出す。 
「つまらない本などないのだよ」
 そう、つまらない本などないと関口に諭すのだ。もし、つまらないのならば、その本のツボを見誤っているのだと。
 そうだ、映画とて同じ事。別の見方だって可能なはずだ。
 そういう点で見ると、コノ映画で注目すべきはやはり『演出力』だ。スライドや、ピンスポットを使うなど、芝居的な表現を絶妙に取り入れている。また、カメラワークや、音の使い方も独特である。独特といえば、要所要所に区切りとしてインサートされる日付と月の満ち欠けなどの表示。正直、意味が良く分からないが意表を突かれる。
 あともう一つあったな、注目すべきは・・・それは原作者・京極夏彦だ。彼は素晴らしいな。なかなかどうして。ニヤリ。

 ところで、原作は掛け値なしに面白かった。
 今まであの分厚さに閉口してしまって敬遠していたのだが、読み始めると止まらなかった。長いウンチク話も最初は何を言ってやがると思っていたが、すべては繋がっているのだった。その様はあたかもバラバラだったピースがついには集合して一つの絵となるようだ。
 『風が吹けば桶屋が儲かる』的因果応報の物語となっている。そして、怪奇モノのようでいて怪奇モノではない。
「この世に不思議な事など何も無いのだよ、関口君」





■今日のBGM■
Bonnie Pink
『Even So』
この人の声は驚くほど綺麗で心に流れ込んでくる。
何て透き通った声だろう。硬く固まった心を溶かす力のある声。
心地よいなぁ。
最近では、HMVでカバーアルバムを試聴した。
しょっぱなの曲聴いたことある曲だなぁと思ってたら
『Frente!』
だった。懐かしい~!このバンドのアルバム昔持ってたよ~!
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by skullscafe | 2005-07-18 03:28 | 映画


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