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あの娘はコンプレックスを抱えながらもとても優しい

 女の子と町をブラブラする。
 休日だし、天気が良かったので気持ちよい。この女の子とはもう一段階先にいけるかもしれない。そんな予感がある。
 しかし、女の子との2人歩きは久しぶりで、何を話してよいものか困ってしまう。友人Mの奴やNさんなんかだったら普通にしゃべってられるんだろうが、僕は相手の反応がいちいち気になる。まだ自然体ではないのだ。イヤだなぁ。人との距離の縮め方は相変わらずヘタクソだ。ほら、彼女もちょっと、距離を置いていると言うかよそよそしさが取れないと言うか何となく落ち着かない感じだ。
 
 ああ、もう・・・

「ごめんなさい」
と彼女に言われた。あ、ため息に感づかれたかな・・・。
「アタシと歩いてるの、イヤじゃない?」
「え、そんな事無いよ。楽しいよ」
「本当に?」
「もちろん。なんでそんな事言うの?」
「・・・だって、私のほうが・・・その・・・背が高いから・・・気にしてないかなって」
なんだそんな事か。彼女は僕のことを気遣ってくれているのだ。本当に優しい子なのだ。
「気にしてないよ。」
「そう、それなら良かった」
 ちょっと安心した風に彼女は笑った。
 彼女の背の高いのは構造上しょうがない。だって、彼女はキリンだから。肩の高さはほぼ一緒でも(いや、それでも彼女のほうが若干高い)首の長さで絶対的に差がついてしまう。
 それでもやっぱり優しい彼女の事が好きだし、彼女も僕のことが好きだと思う。なので、僕らは付き合うことになるだろう。

 ・・・そんな夢を見た。
 キリンと付き合うのか・・・僕は・・・


そう言えば、山田太一の小説で『君を見上げて』という小説があった。
身長差カップルの話で、やはり男のほうが身長が低い。意外とハードボイルドな話だった気がする。まぁまぁ面白かった。
by skullscafe | 2006-11-19 09:01 |


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