ちかんの冤罪を取り扱った映画。
ゾッとした。 自分の意思の及ばないところで、自分の運命が変わっていくことに。 無実と言い張れば言い張るほど、時間や自由やお金が奪われていく。それよりも、最初にやっていなくてもやりました、と言ってしまえば、早く釈放され自由になる。 この映画を見た多くの人が後味の悪さを感じたという。僕もまたその一人。 何が正しいと言い辛い。 例えば、ちかんに関して実はやっていたとする。その上で、無罪を主張する。物的証拠が無い中で判断しなければならない。どうするか。 この映画を見るだけでは、皆、主人公の無罪を信じて無罪になって欲しいと願う。だが、嘘だったら。本当はやっていたら、それは全く見方が変わってくる。やはり、『反省の色無く』『言い張っている』ことになる。それらを判断するのは、曖昧な人間の記憶が頼りで、言った言わないの問題に終始してしまう。最終的には裁判官の心象1つ。 人が人を裁くあたり、確かな事なんて少ないんだなぁと思う。 そして、何より、この問題は他人事ではないという事にゾッとする。 男で毎日電車に乗っている人ならば同じ事になる可能性はあるのだ。 作品自体は、裁判所をメインに映していき、ギャグらしいギャグもないので、ガチガチの社会派映画という感じがするけれども、なんとなく周防監督ぽさが出ている。裁判シーンの合間合間に挟まれている、皆で今までとこれからを話し合うとこととかに、何かそういう“ぽさ”を感じる。 チョコチョコと、さりげないオカシミを混ぜたりしているし。非常に硬い話なのだけれどその中で登場人物の感情のうねりで緩急をつけていて、 気が付いてみればスクリーンに目が釘付けだった。
by skullscafe
| 2007-01-28 01:23
| 映画
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