昨年の年末から今日まで僕はある意味ずっと閉じ込められていた。そう、それはまさに檻だった。『鉄鼠の檻』
京極夏彦の本はバカみたいに分厚い。専門用語なども出てきて読むのにも難儀する。今回の『鉄鼠の檻』は、僕にとって『姑獲鳥の夏』『狂骨の夢』から京極夏彦体験3冊目である。京極堂のシリーズでもやはり3冊目だ。で、今まで体験した京極夏彦の中では1番長い。いや、分厚い。 話は、とある誰も知らない禅寺の関係者が次々と何者かによって殺される話だ。おっと、1行で説明が済んでしまった。あんなに長いのに。 今回の登場人物たちはそれぞれ色んな物に囚われている。それぞれがそれらの“檻”から出られずに苦しんでいる。 ははぁ、そう言えば人は皆何かに囚われているな。仕事、生活、金、家族、恋人、時間・・・。そこから脱しても気がついたらそこはまた新たな“檻”の中なのだ。 悟りも一緒らしく、悟ってもそれで終わりで無いという。悟るのは一回で終わりではないそうだ。小さい悟りと大きい悟りがあるらしいが、何度も何度も悟っては修行し悟っては修行し、の繰り返しなのだという。 それは我々一般人の生活の中でもある事で、ああ、こうすれば良いのかとか、あの時あっちの選択をすれば良かった、と気づくのと同じ事なのではないかなと思う。では、わざわざ修行する意味はあるのかな?・・・嗚呼、だから破戒僧が出てくるのか。まぁそこらへんは良く分からないな。 で、今回の話を読んでいて無性に『ファンシィ・ダンス』という映画が見たくなった。モッくんがスキンヘッドにして公開当時話題になった。『Shall We Dance?』『シコふんじゃった』などで有名な周防正行監督作品。この本を読んでから見たら、あの映画がより一層楽しめそうだ。皆さんも是非! ・・・かくして、私はやっと京極夏彦に仕掛けられた“檻”から抜け出し、また別の書物の森へと向かうことが出来る。 しかし、京極好きな会社の同僚から京極夏彦の本が次から次へと持ち込まれてくるので、京極堂との付き合いはまだまだ続くのだった・・・・。
by skullscafe
| 2006-02-19 20:09
| 本
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